鬱病社会からの脱出

 近日「YOU are EARTH」で公開予定の西山いずみさん取材記事ですが、この中で「鬱病は誰にでもある」という言葉が出てきます。
 昨今、「鬱病社会」と言われるぐらい鬱病患者の数は増えていますが――本当に鬱病って「病気なのだろうか?」と思うことがままあります。
 勿論、深刻な鬱病があるというのも、かつて医療関係で仕事をしていた私はよく分かっています。しかし、最近の社会を見るにあまりにも簡単に薬を出し過ぎなのではないかという思いが拭えないのです。

 私の知人で、こんな例がありました。
 その家は、お父さんが某テレビ局の有名アナウンサーで、家庭的にも裕福な暮らしをしていました。家はどちらかと言えば躾のきっちりした家で、二人の娘さんにもご両親は教育を惜しまない人でした。
 二人姉妹のうち長女の方はとても綺麗な方で、それこそモデルにいても不思議はないような人でした。その上才色兼備だった彼女は有名私立大学に入学、その後も一流企業で秘書をやったりなど、華々しい人生を歩んでいました。
 一方、妹の方は非常に大人しく、どちらかと言えば地味な雰囲気の人でした。勉強もとりわけ好きではなく、高校も十人並みの高校を出て、大学受験に失敗し、自分が望んでいた大学ではない進路へと進みました。
 私はこの姉妹両者を知っていますが、妹の方は色々と挫折を味わっているものの、「人生、親に敷かれたレールだけを歩いていていいわけじゃない」ということを悟っている人でした。彼女は無言の中で両親へのシュプレヒコールを掲げ、自分の生き方を探していたのです。周りからアウトローと呼ばれていたものの、自分の人生を切り開きたいと必死に藻掻き、様々なコンプレックスを抱えながら、それでも必死に我が道を模索しているような人でした。
 彼女の前には、大きな壁がいくつも連なっていましたが、そこを打破出来れば「本当の意味で自から輝ける、魅力ある人物になるだろう」と、私は期待していました。
 ところが――去年、その妹さんが「重度の鬱病に罹っている」という話を聞いたのです。
 実家で暮らしていたそうですがお父さんとうまく行かず、そうした家庭の軋轢が社会生活にも影響をして仕事が出来なくなり、ついには会社もクビになってしまいました。
 今、その妹さんは完全に薬漬けとなってしまい、家から一歩も出ない状態だそうです。もう誰ともコミュニケーションを取らなくなり、たった一人で籠もることが多くなったのだとか――。

 この話を聞いて、皆さんは「これは鬱病だ!」そう思われるでしょうか?
 私は、そうは思いませんでした。
 私がその妹さんと会ったのは、かれこれ6年ほど前の話ですが――確かに人見知りをするシャイな方で、人受けはあまり良い印象はなかったものの、その分「内側」に持っている意志の強さは並ならぬものでした。社会や周囲と迎合し、それをそのまま受け入れられる人達にしてみれば彼女の中にある「言葉に表現出来ない鬱屈した想い」は、理解出来ないかもしれません。しかし、「この人の生きる社会が、今の現代社会でなければ――もっと違う人生があったかもしれない」、そう思えるような可能性を秘めた人でした。

 社会に迎合出来ることが、正常の証なのでしょうか?
 周囲と何の問題もなくいられることが、正常なのでしょうか?
 もしも社会が狂っていたら、そんな狂った社会に迎合出来る人と、それに反発する人、一体どちらが正常なのでしょう?

 私は、その妹さんのことを思うと胸が痛みます。
 この問題――誰が悪いわけでもない。お父さんには勿論、お姉さんにだって罪はなく、妹さんの中で肥大したコンプレックスを、どう発散していいのか分からなかったに過ぎません。
 唯一問題があるとしたら、そういう事実関係を調べることなく安易に薬を処方し、彼女を薬漬けにしてしまった精神科の医者に問題がある――私はそう思います。

 今ある鬱病の問題の多くは、こうした「事実関係を大して調査もせず、簡単に薬を出す病院側」にもあるのではないでしょうか?
 昨今注目されている「SSRI―抗うつ剤―」は、その副作用が自殺を増加させるだけでなく、大量殺人への衝動に繋がるなどで多くの医療関係者から批判が寄せられています。アメリカでは、この薬に関して使用しない方向性でいる州などもあるのに、日本ではこの薬が簡単に処方されているそうです。
 「自殺国家」と騒いでいながら、何故、こういう「精神疾患と薬処方の関連性」についてはあまり注目されないのでしょうか?

 私は、鬱病になってしまう人の気持ちはよく分かります。私自身、一歩間違えば先程挙げた妹さんのようになっていたかもしれないからです。
 生まれついた家族と相性が悪いと、それだけでハンデを抱えたようなものです。親の価値観と自分の価値観が合わず、親がそうした子供の価値観を受け入れることが出来なくて否定するばかりになった場合、その子の人生は他の子の人生よりも、遙かに遅れてスタートラインを切ることになります。
 そういう問題から派生した諸々のことを、ただ単に「鬱病」で片づけてしまっていいのでしょうか? 単に薬を処方するだけで解決させて、いいのでしょうか?
 中には、職場や会社で自分の人生が見出せず、登社拒否のようになって、そこから鬱病診断される人もいるかもしれません。
 しかし、自分の人生に疑問を持つというのは、その場が合わないだけであって、他にもっと違った場があるかもしれない。逆に「今」という時期が合わないだけであって、少し時間がたてば合うかもしれない。

 現代日本は、人々から自分を知るという生きる上で大前提の機会を奪っておきながら、迎合しないと薬漬けにしてしまう――それはあまりにも、個性の冒涜ではないでしょうか? 
 経済面では先進諸国と呼ばれていますが、内面は全然先進的ではない――むしろ、「周りに迎合すること」を強要する古臭い社会主義のようにしか思えません。

 誰にでも鬱はありますが、その言葉だけで解決しないことがあるのも、私は分かります。自分自身が生まれついた家族の「ハンデ」を抱えている為、どうしたところで「人生において、マイナスされている」ような思いが拭えなくなるのは仕方のないことだというのも、よく分かるのです。
「親を大切に」「親孝行をしよう」――そんな世間一般の言葉さえもが、自分自身を苦しめ苛む言葉であることを、私自身が一番よく知っています。
 自分がハンデを感じ、そこが理由で鬱になってしまう場合は、「それが自分にとって、不要なものだからだ」という考え方をするのもひとつの手だと思います。不要なものを抱え込んでいれば、いずれそれは負担になる。その人それぞれに応じた役目があるにも関わらず、世間の一律的な価値観を押し付ければ、個性は蔑ろにされて当然です。
 今の社会における鬱病の増加は、社会が、一律的価値観を押し付け過ぎている現れなのではないかと、そんなふうにも思えるのです。

 アメリカでは、鬱病の初期患者には薬処方をせず、カウンセリングや運動を薦めるなどして、リフレッシュをさせているそうです。
 日本も、もっと鬱病の人達に対する理解と、初期患者に対する対処の仕方を変えるべきではないでしょうか? 少なくとも、私の周りにいる「鬱病患者」とされる人達の共通項は、「みんな、自分の中にある何かを変えたかった人」です。そこを励まし、立ち上がらせることの方が大切なのであって、安易に薬を出してしまうことの方が問題なのではないでしょうか?

 日本が鬱病社会、自殺社会から脱出するには、そうした精神的病の多くが「長期に渡って培われた価値観の影響」だったり、「周囲が価値観を押しつけている」ことにあるのだということに気づく必要があるでしょう。どんなに新薬が開発されたところで、鬱病は治りません。
 こころの病は、物質で治すことなど不可能です。こころを薬で頼って治らせるという発想自体――人を「物」と見ている証拠のように思え、同時に、「そういう社会だからこそ、鬱病はなくならないんじゃないか」そんなふうにも思う今日この頃です。


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2010-01-16 | 社会 | トラックバック(0) |
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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


【篠崎の著作本】

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