見えないところで、泣いている人々

 今から書くことは、16日、本当にあった話です。
 場所は、東京の白金高輪──住宅地としては、高級と括られる地域です。その地域にある託児所で働く女性Aさんが、実際に体験した話を今からご紹介します。

 皆さんは、この話を聞いてどうお考えになりますか?

 Aさんの働く託児所に、とある女性が訪れました。時刻は11時半──お昼前のあたり。その女性は年齢こそは判明しないものの、顔中アトピーのような湿疹に覆われていて、それを隠す為なのか大きなマスクをしていました。最近商店街の外れに越してきた人だそうで、まだあまり周囲ともうち解けていない様子でした。
 女性は、Aさんに向かってこう言いました。

「すみません、オーナーはいますか?」
 生憎とその時、オーナーは不在でした。
「すみません、今はいないのですが──」
「そうですか」
「私で良ければ、承りますが?」

 女性はしばらく躊躇っていましたが、やがて重い口を開きました。
「実は、義母が具合が悪くて──病院に連れて行ってあげたいのだけど・・・・・・お金がなくて」
 Aさんは、その女性がオーナーにお金の相談をしにきたというのが、すぐに分りました。オーナーとその女性は、ある程度顔なじみだったからです。
 かといって、勝手に金庫をあける訳にもいきません。その上、Aさんも悲しいことに、電車賃しか持っていませんでした。
「ごめんなさい。私も貸してあげたいのだけど──持ち分がなくて。交番へは、行ったのですか?」
 すると、女性は首を横に振りました。
「交番は、勿論行きました。ですが『生活費を貸すお金はない』と、断られてしまって。商店街の知り合いのところも廻ったのだけど、全部断られてしまいました──」
 Aさんは、その女性が嘘をついているわけではないというのが、直感で分ったそうです。そして、本気でお金に困っているのも。何故なら、しばらくお風呂に入っていないような体臭が、その女性から臭ったからです。
 結局、お金を渡してあげることも出来ず、そのままAさんは女性と別れたそうです。しかし、Aさんはとても気になっていたことがありました。

 それは──女性の手に握られていた、小さな新品の石鹸。

 おそらく、お金を貸してくれた人に「せめてものお礼」として、その石鹸を手渡すつもりだったのでしょう・・・・・・。その石鹸を握りしめたまま、女性は去って行きました。


 皆さんは、この話を聞いてどのように感じましたか?
 Aさんは非常に気が咎め、私に「自分は何も、あの女性に出来なかった・・・・・・」とこぼしてきました。
 しかし、それは仕方ない──私はそう思います。
 人は誰だって、精一杯生きています。その場で思いつかないこと、してあげたくても出来ないこと、そんな後悔をたくさん背負って、私達は日々生きているのだから。

 ですが──そういう後悔を言い訳にしてはいけない人達もいます。
 公的な任務につく人達です。
 私は、その女性を商店街の人達が拒んだのは、まぁ仕方ないと思います。
 しかし、公民とも言える警察官が「生活費は貸せない」って門前払いをしたというのは、どういうことですか?!
 私が、東京都の白金高輪、しかも16日の11時半と明確に記事に載せたのは、抗議の意味もあるからです
 貸せない、というのは仕方ない──百歩譲りましょう。しかしそれならせめて、何かしらの対処は出来たのではないですか? それを、何の情報も与えずに門前払いというのは、一体どういうことなのでしょう?

 こういうことを記事にすると、心の渇いたひねくれ人間が「きっとその女性は常習犯で、だから警察が相手にしなかったんだ!」そういう人もいるでしょうね。

 ──だったら、何なんですか?
 常習じゃなかったら、どうするんですか?
 常習だとかそうじゃないとか、そういう問題じゃないでしょ。現に困っているからこそ、その人はAさんの託児所まで石鹸片手に訪れているのだから。
 何故そうやって、自分が知りもしない可能性だけを翳して、人の痛みを無視するようなことが言えるのでしょう。

 私はこういう話を聞くたびに、この国に幻滅します。
 先日も、私を幻滅させたニュースがありました。派遣村のニュースです。
 まとまったお金を渡したことで、三割が外泊したと報道された途端、多くの人達がまるで「ほらみろ! 派遣村なんか意味がない。ああいう人は、所詮そういうレベルなんだ」と言っていたのに、私は心底腹が立ちました。

 考えても見てください。
 三割ですよ?
 残り七割の人達は、どうなるんですか?
 たった三割の為に、七割の人達の苦労や努力は報われなくなるんですか?

 そんなの、間違ってる! そう思いませんか?

 それに──私は、三割の人達の気持ちも・・・・・・分らなくもないです。
 彼らは、罪人でもなければ、何をしたわけでもない。
 普通に今まで生きてきて、突然社会が不安定になったが為に、職を失っただけなのです。
 彼らだけに責任があるのではなく、社会にだって、責任あるはずではないですか? 

 あのニュースに「ほらみろ!」といった方々。
 是非、あなた方に私はテント生活を体験して欲しい!
 それで、年越しをしてみて欲しい。
 惨めな気持ちの中で暮らし、先行き不安の中でいて──少しぐらい、息抜きしたい・・・・・・そう思わないのですか?
 そういう人達の痛みを、何故感じられないのですか?!

 日本は、このまま「見えないところで泣いている人々」のことを無視して、存続出来るのですか?
 マザーテレサが言った言葉、「日本は、日本にいる貧しい人達のことを考えて欲しい」──この言葉の重みが、どこまで伝わっているのでしょう?

 私は・・・・・・日本の先行きが、とても不透明に感じて仕方ありません。人間にとって大切な情や、思いやり、痛みを知ろうとする心が失われてしまったら──その国は終わりです。
 この記事を読んで、上記の女性の痛みを──Aさんの苦悩を分って下さる方がいることを願う次第です。


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2010-01-19 | 社会 | トラックバック(0) |
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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


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