徳間書店 マオリッツオ・カヴァーロ/著「クラリオン星人はすべてを知っていた」より
こうして私は知ったのです、コスモスは自らのクローンを生成すると。始原の原子、水素と光のマグマをまき散らしながら、急激に自分自身のコピーを創っていくのだと。鮮やかな赤い巨星、二重星、三重星、四重星は、太古の荘厳な舞踏で回転するように荒波の中を滑っていき、時を紡いでいくのです。(P99)
「時は存在せず、空間はまやかしだ。一本の紐から別の紐へと移動するのは、我々だ。まるで狂った光子のように、我々は空間を生み出しながら虚無を横断する。時が流れるような間違いがあれば、我々は再度誕生するべく瞬く間に憔悴する。……法則というものは見せかけに過ぎぬ。なぜなら、均衡とは不変ではなく、何であろうと永遠に同類あるいは同一ではあり得ないからだ。全ては恒常的に刷新されていくのだ。万物は波であり、螺旋である。そして球体は、潮流が複製するものを内包する」(P110)
運命とは、宇宙の秩序に基づき、複数のパラレルワールドが予め設定されているということです。翻って、自由意志とは、パラレルワールドの中でどんな選択をするかという決定権が与えられているという意味です。
また、カルマというのも、その言葉につきものの古くさい神秘主義的なベールをはぎ取れば、明確になります。それは、選択がもたらした結果を一貫して集約する<容れ物>に過ぎません。
さらに、人間が行うひとつひとつの選択が、時空構造に何ら影響を及ぼさないということも分かりました。とはいえ、選択をする人間は、連続した別のパラレルワールドに自分の意識を移動させています。これはすなわち、無意識のうちに自らの選択を、ほかのパラレルワールドにも反映させている、ということにほかなりません。
だからといって、世界が変わるのではありませんでした。要するに、人が自らの意識を別のパラレルワールドに移動させると、パラレルワールドに住むもう一人の自分が啓蒙され、その運命が変わるというだけのことです。ちなみに、パラレルワールドにいる自分が、もともとの世界にいる自分よりも時間的に先行していると考えてはなりません。どちらも、同じ時を生きているのです。
私たちはいたる所に存在し、過去にも未来にも生きています。この世界のみならず、異次元の世界だってそうです。……現在や過去、未来をも含めてです。私たちはすべての場所にいて、あらゆる姿をしています。私たちはただ、そのことを認識していないだけです。自意識(エゴ)が影のように寄り添い、私たちの目をくらませているからです。(P268~269) 一部分の抜粋ですので、文脈的に分かりづらいかもしれませんが、マオリッツオ・カヴァーロが書いていた「パラレルワールド」に関して重要だと思えた箇所を引用しました。
カヴァーロの文体は(おそらく意図してでしょうが)難解な言い回しが多いので、とっつきにくい印象もあるかと思われます。しかし、そこを辛抱強く読み解く努力をすると、現代科学よりも遙か先端を示唆しているのだということが実感出来ます。
最新物理学の分野で「パラレルワールド」を提唱している学者としては、ミチオ・カク博士が有名でしょう。彼は次元のフリーズという話をしていますが、それはまさしくカヴァーロの言う「マルチ・ユニバース」に該当するものだと私は考えています。
宇宙は、まるで湧き上がる泡のように無数に存在し、ただひとつではないという説が、最近ではメインになりつつあります。しかしそれは「次元」という境界で切り離されているので、私たちには認知出来ないものとなっているのでしょう。
しかし──私はここで、ふと疑問に思ったことがありました。
それは、
何故、無数に誕生する必要があるのかということです。
私は本を読む際、あやふやなところをそのままにして読み進める──ということが出来ない人間です。
勿論100%の熟知までは行きませんが、疑問に思ったことはその場で徹底考察して「その時の自分なりに解釈」出来ないと、先に進めないのです。(こういう人間なので、講義を受けるよりも本で独学する方が得意だったりします。講義を受けていると、疑問に思ったところにずっと立ち止まっているだけで先に進んでしまいますから──)
私は冒頭に書いた
「コスモスは自らのクローンを生成する」というところで疑問を抱き、その先に進めなくなりました。
何故、クローンが必要なのでしょうか?
次から次へと生み出すのであれば、「まったく違うもの」の方がいいに決まっています。
何故、同じものが必要なのでしょう?
その上、私たちには(上記抜粋記事に寄れば)パラレルワールド上で「どのような選択をするか」という自由意志を与えられているのです。
何で、そんなまわりくどいことをするのでしょう?
最初から「宇宙の秩序に基づくパラレルワールド」を誕生させるのであれば、人間にも自由意志など持たせない方が遙かに安全です。そうであれば、私たちは自然を脅かすこともなければ、環境を破壊することもなく、宇宙と共に生きることを意識することなく普通に望むことが出来たでしょう。
クローンをつくる程「種の保存」を優先するのであれば、最初から自由選択など与えなければいいのではないか?
私はそこを疑問に思い、先に進めなくなりました。
しばらく考えあぐねた末……
ある結論が出てきました。
私は長年にわたって小説を書いていますが(今は忙しくて、まったく書いていませんが)、書いている最中に
コピーを取ります。
それは勿論、小説の内容を間違って紛失させない為です。
しかし、それをあえて──同時に「複数」コピーをしたとしましょう。そして、そのコピーをそれぞれ同時期に(って、時間軸のある三次元では不可能ですが、仮に──ということで想像してみてください)執筆スタートするとしましょう。
おそらく、小説を書いたこと──或いは漫画を描いたことがある方なら感覚が分かると思いますが、小説の登場人物というのは
決して作家の意図どおりに動くわけではないのです。 私は2004年から2年間ほど、携帯の公式コンテンツで連載を持っていたことがありますが、その作品の主人公はまさにそうでした。どんなに作者がストーリー通り話を進めようとしても、主人公が言うことをきかないのです。結果的に主人公の望むままに話を進めたら、私が最初に想定していた物語より遙かに深く、意義のあるものになっていたのです。
創作を体験したことがないと「何を馬鹿な」と思うかもしれませんが、作品というのは不思議とそういうものなのです。絵も、音楽も同じです。自分が意図したよりも悪い出来になる時もあれば、想像を絶するほどいい出来になることもあります。そうしたものを生み出すポイントは
「自分は作り手である」というエゴをなくし、空っぽになることです。そして、メロディの生み出すまま──登場人物の動くがままに任せると、作家の予想を超えた作品に仕上がることがあるのです。
今挙げた例は、「三次元という限定された枠(ひとつしか認識出来ない枠)」に過ぎませんが、これをもっと視野を広くして、「作品を同時期に、書き進めた」としましょう。
そうすると、登場人物が各の選択によって、ラストシーンも変わってきます。しかし、
「その物語の世界観」には変化がありません。あるのは
「自由選択によって結末が変わる」というだけの話です。
たとえば、身近な例で「シンデレラ」を挙げてみましょう。
シンデレラが12時の鐘が鳴り終わる前に、素直に
「ごめん! 門限あるから、私帰るわ」と、王子とのダンスをさっさと切り上げていたら──どうなっていたでしょうか? シンデレラは普通に家に戻って、「ああ、王子様とのダンス素敵だったわ~」と一生思い出にひたりながら生きていくことになったでしょう。
もしくは、約束を放置してあのままダンスを続けていたら、どうなっていたでしょうか。魔法は瞬く間に解け、ドレスがみすぼらしい服装に変わってしまったかもしれません。その後も王子の愛が貫かれたかどうかは、読者の皆様の想像に委ねます──(笑)。
しかし、どんな結末になったところで、シンデレラの世界観に影響がないことは、お分かり頂けると思います。
ちょっと卑近すぎる例ではありますが、仮にそう考えると「パラレルワールドが存在する理由」が、何となく分かる気がするのです。
宇宙は、偉大なる創造(クリエーションの場)だと言いますが、まさしく
「ありとあらゆる結論を、自由選択によって体感する場所なのだ」と言えるのではないでしょうか?
そして、その「あらゆる結論」を体感させる為に、コピーを作成するのではないだろうか──そのように、私は感じました。
少なくとも、私が作者だったらそうします──っていうか「実際、そうしてました」。私の書く小説の登場人物は破天荒なのが多いので(苦笑)、ストーリーが破綻しないよういくつかコピーをとって加筆、修正することが多々ありましたので。
もしかしたら、宇宙も同じ感覚なのかもしれません。
私たちは、この「自由選択」の存在に心から感謝すべきなのでしょう。悩むからこそ、迷うからこそ、人は強くなれるし、さらなる成長を望めるのですから。
そう思えば、不安や恐怖が「如何に些細で馬鹿馬鹿しいものか」がお分かり頂けるかと思います。
私たちが日常で抱えている問題なんて、宇宙にしたら──それこそ、マルチユニバースで考えたら、取るに足らないちっぽけなものなのかもしれませんしね。
今の私が悩んでいる頃、別の次元の私はおおはしゃぎで野原を走り回っているかもしれない──そう思うと、悩むのが馬鹿馬鹿しく思える今日この頃の私です(笑)。
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エハン・デラヴィ氏ブログ「シンクロニシティ」にて、「地球巡礼者」解説連載中です。28日に最終章UPしました。次回以降は配信番組「2012ルネッサンス」をレポート予定です。
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