マナーは規律ではなく「人間性の顕れ」

 「現象と意識の関連性」についてまだ連載途中ですが、先日強烈に痛感したことがあったのでそちらを記事にします。
 旅行者にとってのマニュアル本(?)でメジャーな「地球の歩き方 ロンドン編」で、興味深いことが書かれていました。

「イギリスでは、ドアを開けた時後に続く人がいると、先に行った人が開いて待っているのが常識」

 出国前にそれを読んだ時、「こんな当たり前のことが、わざわざ地球の歩き方に書いてある」ということが、とても不思議でした。扉を開けた際、後続の人に扉を開けて待っているというのは、マナーでも何でもない思い遣りとして当然のことだと、私は思っていたからです。
 しかし、「日本の街中が必ずしもそうではない」ことは、みなさんもよくご存知のことと思います。だから、「待つのが常識」と言われても「日本と大差ないのだろう」ぐらいにしか思っていなかったのです。

 ところが、イギリスでは本当に扉を開けて待っていてくれる人が「ほとんど」でした。
 ほとんど──いえ、私があった限りでは100%でした。
 勿論、私もそうしました。日本で何度もそういうことしてきましたが、「ありがとうございます」「すみません」と挨拶してくれた人はほぼ半数です。多くの人が扉を開けて待っていても、当たり前のようにして何も言いません。
 しかし、イギリスで扉を開けて待っていると、全員と言っても過言でない人達がみな「Thank you」と笑顔で言ってくれました。

 この差は一体、何なのでしょうね──。

 ロンドンは世界的な大都会なので、みんながみんな英国人ではないでしょう。私たちのような観光客も大勢いたはずです。その証拠に、大英博物館のエレベーター内で白人のグループと一緒になったのですが一方はイタリア語、一方はフランス語、英語喋ってる人達が皆無という奇妙な光景に出逢った程です。
 だから、「扉を開けて待つ」というマナーは必ずしもイギリスに限ったことではなく、もしかしたら「万国共通の常識」なのかもしれません。

 しかし、今の日本はどうでしょうか?

 私は、駅構内で見かける「マナー広告」というのが嫌いです。
 何故なら、あの広告ほどマナーというのは外部から規制されるものだということを押しつけている広告はないからです。
 とはいえ、ああやって呼びかけるしかない程「日本人のマナーが低下している」のは事実でしょう。私自身、帰国してすぐに驚いたのは「マナーの悪さ」でしたから。

 成田空港からエクスプレスに乗り最寄り駅についた後、私は大きなスーツケースを引きずりながら、エレベーターに乗ろうとしていました。私の後ろには、ベビーカーに赤ちゃんを乗せたご夫婦がいて、私もそのご夫婦も、エレベーターに乗ろうとしていたのです。その駅にはエスカレーターがないので、重いスーツケースを持っている私も、そしてベビーカーを引いているご夫婦も、手段はエレベーターしかなかったのです。
 エレベーターの前には、手ぶらのおばさん(50代~60代ぐらい)がいました。ちょっとしたハンドバックは持っていたものの、その他に荷物はなく、しかも足腰も丈夫そうです。
 まぁ、エレベーターは万民のものなので誰が使うのも構わないのですが──驚いたのは、私とそのご夫婦がエレベーターに乗ろうとしているにも関わらず、扉の「開く」を押そうともしなかったことです。

 当然、エレベーターは閉まりかけていました。私は重い荷物を引きずりながらその場で走り出し、中に入って「開くボタン」を押しました。その配慮にご夫婦は気づいてくれたようで、「ありがとうございます」とお礼を言ってくれました。
 私は唖然としておばさんの顔をマジマジ見てしまいました。
 しかしおばさんは、何も悪びれた様子はありませんでした。
 彼女の中には「荷物を持っている人達」「ベビーカーを引いた人達」がエレベーターに乗るしかないこと、そして、その人達の為に「エレベーターを『開く』で待つ」という発想そのものが、欠如していたのかもしれません。

 私は、そのおばさんに悪気があったとは思っていません。
 ただ、明確に言えることはマナーというのは規律ではなくて、その人の人間性がすでににじみ出ているのだということです。
 どんなに綺麗事を言っている人でも、その人の動作一つ、言葉遣い一つで、その人の人間性ははかりしれます。勿論、疲労が溜まっていたりストレスが溜まっているとそこまで配慮出来ないこともあるでしょうが、本当の大人というのはどんなに疲れていても、どんなにストレスがあっても、だだっ子のようにそれを公共の場でさらしたりはしません。その時点で、その人の人間性が「子供であることの証明」だと、私には思えるのです。

 私がこういうことを言うと、中には「そんなに自分の一挙手一投足、全部に神経まわしてたら疲れちゃうよ」という人もいます。
 でも、本当のマナーというのは、気疲れしないものです。何故なら、それは人間性がすでで表現されているからです。
 よく使う「氷山の例」と似たようなものです。人間性という「海面下の自分」があったとしたら、海面から出ている氷山は「それらが表出した部分」でしかありません。いちいち気を遣って「お年寄りに席を譲らなくちゃ~」とか「一日一善しなくっちゃ~」と言ってる時点で、すでに無理があるのです。
 本当に人間性が確立していれば、悩むことなく席を譲れるし、人の迷惑になるような行為はしないし、相手が求めるものをごく自然に行うことが出来るはずです。

 マナーは「教わるもの」ではありません。
 自分で培うものだと、私は思っています。
 だからこそ、マナー広告としてあのように小うるさく貼りまくるのはどうかと思います。「それが出来てない」時点で、すでに日本人の人間性に問題があるという視点に、私たちは立つべきなのではないでしょうか?

 海外に行くと、それが本当に実感されます。
 勿論、海外がすべていいわけではありません。日本にだっていいところはあるし、海外にも悪いところはある。
 でも、ひとつだけはっきりしていることは現代日本人は、マナーということをはき違えているのではないかということです。
 マナーは「人間性」であって、「規律ではない」のです。

 後続する人の為に扉を開けて待つのは「規律で決められている」から、そうするのですか?
 お年寄りに席を譲るのは「規律で決められている」から、そうするのですか?
 荷物を持っている人の為にエレベーターを待つのは「規律で決められている」から、そうするのですか?
 それが規律でなければ、マナー広告がなかったら、誰もしなくなるのですか?
 そうではなく、相手の為に良かれという思い遣りから生じた行為でしかないと、私には思えるのです。

 最近、駅で携帯を使っているのを注意したら逆ギレされて殺されたとか、化粧しているのを注意したら逆ギレされたという事件もよく聞きます。
 しかし、私は本来「これはマナーではない」と思っています。
 もっと正確に言えば、マナーは人間性である以上、注意のしようがないのです。本人が気づき、自発的に変えていくしかない。
 注意した人は、正義感などの強い人だったのかもしれませんが──亡くなった方にこのようなことを言うのは大変申し訳ありませんが、私が思うに「それが『余計なお世話だった』と言われてしまっても、仕方ない部分がある」と思います。
 その方は「マナーは規律だ」と思っていたのでしょうね。
 でも、そうではありません。「人間性」です。
 だから、エレベーターで待たない人、席を譲らない人、電車の中でジベタリアンする人達に向かって、私たちは注意を促すことは本来出来ないのです。「彼らが気づくのを、待つしかない」のだと。
 そして、唯一出来ることがあるのだとすればそれは、日本における人間性の向上を、根本的に考え直すことしか出来ないのだと、そう思えるのです。

 日本は本当に、色々な意味で「岐路に立たされている」──そう実感する昨今です。


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2010-04-28 | 社会 | トラックバック(0) |
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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


【篠崎の著作本】

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