傷つくことを恐れるよりも、「信じること」を大切にしたい

 私は宮崎駿監督作品が大好きで、結構何度もDVDで繰り返し観てしまいます。(余談ですが、英語版で「トトロ」を観ると面白いですよ。歌も全部英語になってます。)
 宮崎監督作品は、「自然と人間の共存(『ナウシカ』や『もののけ姫』)」といった深いテーマを扱っているものもあれば、「個人と周囲の関係性(『魔女の宅急便』や『となりのトトロ』『崖の上のポニョ』など)」といった身近なテーマもあり、テーマ性の幅は本当に「めちゃくちゃ広い」としか言いようがありません。
 しかし、どの作品にも必ず「個々人の中にある問題点」或いは「個々人にとって感動するポイント」があり、だからこそ多くの人の心を掴めるのだろうと思います。
 殺伐とした社会になればなる程、私はこれらの映画──「魔女の宅急便」や「となりのトトロ」に出てくる人達の触れ合う姿に感動せずにいられません。

 宮崎作品の特徴は、必ず相互扶助で成り立っており、主人公が誰かを助け、また同時に脇役が主人公を支えという「信頼に裏付けされた関係性」が象徴的に描かれています。
 また、主人公となる人物の性格が「しっかりした自己を確立している」というのも、特徴のひとつかもしれません。サブカルチャーコメンテーターの中には、そうした「主人公が自己を確立しすぎている」という側面を批判する人も、中にはいるようですが(あれは理想論でしかなくて、非現実的だ──など)、私は「今の日本に不足している、とても大切な要素」だと思うので、かえって宮崎作品は「ああであって欲しい」と思います。
 アニメ映画に「現実性(リアリティ)」を求める必要性なんて「ない」と、私には思えるのです。
 むしろ、人々の指針となるような「理想」を描いて欲しい──、宮崎アニメにはそうした「理想」が数多く描かれている、そう私は感じます。

 人は、人と協力しあわなくなったり触れあうことがなくなったら──それこそ、「人としての価値がなくなる」私はそう思います。
 もう今から十年以上前の話ですが、こんな記事が読者投稿欄に掲載されていました。(もうだいぶ前の話ですし、記憶も曖昧になっている部分がありますがその点はご容赦ください。)
 それは、二歳の子供を持つお母さんからの投稿でした。
 ある日、お母さんは二歳の子供を連れて「スーパー」に買い物に行ったそうです。その時、初老の男性が子供を見て、あれこれ話しかけてきたそうです。
 お母さんは「当時続いていた、幼児誘拐事件」のことを思い出し、即座に警戒しました。男性がにこやかに話しかけてきても冷たくあしらい、子供をその男性から遠ざけていたそうです。
 ところが、スーパーを出た時、子供が手に「チョコレート」を握っていたそうです。お母さんは驚いて「そのチョコ、どうしたの?」と聞いたら、「さっきのおじちゃんが、買ってくれたの」と言って、子供は遠ざかる男性を指さして言ったそうです。
 その男性は、本当に純粋な「子供好き」だったのです。変な疑いを持ってしまった自分を恥じたお母さんは、遠くから声をかけて御礼を言ったところ、男性は咎める様子もなく、ただ優しく笑って会釈を返してくれたとのことでした。
 その記事の文末は、「本当に善良な人にさえも、疑いを持たなければならなくなる──こんな世知辛い世の中になってしまったことが、何よりも哀しかった」と締めくくってありました。

 私は、先日足利市で立て続けに起きた「赤ちゃんの足を骨折させる事件」を読んだ際、上記の投稿記事を思い返していました。
 赤ちゃんを抱かせたお母さんにしてみたら、気さくに若い女性(容疑者の女性は28歳だそうです)が話しかけてきて「赤ちゃんを抱っこさせてください」と言われたら、躊躇しつつも抱かせるでしょう。それが「人の情」というものです。
 しかし──それが結果的に「子供の両足を骨折させられた」ということに結びついたら──そのお母さんの心の傷を思うと、何だか居たたまれない気持ちになります。
 そのような暴行を繰り返した女性の「こころ」に一体何があったのか──どんな理由があったのか、私には分りません。
 衝動的なことなのか、計画的なことなのかさえも、その女性にしか分らないことでしょう。
 しかし、少なくともそうした事件が、先程挙げた投稿記事のお母さんのように「どんな人をも、警戒せずにいられない疑念」へと結びつける結果となってしまうのだとしたら──これ以上、哀しいことはありません……。

 私はそんなことを考えながら、「魔女の宅急便」を見ていたら、涙が止まらなくなりました。
 最初は主人公のキキを怪訝そうに見ていた街の人達が、最後にはいっせいにキキの勇気を応援している姿。あの映画を観ていていつも思うのは、ああ、人って本当は「触れあいたい」し「みんなと心をひとつにしたい」と、そう願っているのだろうなということです。
 例えば、オリンピックやサッカーなど、何かを応援する時──人は「ただ、自分の好きなチームを応援したいから行く」だけでなく、「同じ好きなチームを応援したいという仲間達との一体感」を感じたいからこそその場に行くのではないかなと、そう思うのです。
 ただチームが好きなだけで、応援したいだけというのであれば、わざわざ人混みの中を出ていったりはしないでしょう。応援席で、みなと一体になって「こころをひとつにして、応援する」──それが楽しくて、みんな行くんじゃないのかなと、そんなふうに思ったりすることもあります。

 「この次元は電気的次元であるならば、二元性(対立・摩擦)は避けられない」と、このブログで何度も言って来ましたが、電気の作用は「融合(エネルギー)」というものもあります。
 まさしく、人と人が協力(融合)しあったり調和しあうのは、この「エネルギーが生じる瞬間」なのでしょうね。
 私は、こうした瞬間に出逢えるとものすごく嬉しいし、感動します。
 私はもともと交流下手なので、あまり人前に出ることもなければ逢うこともないのですが、まったく知らない人達と「ちょっとした触れ合い」をする時に感動させられることも多々あります。

 これももう、ずいぶんと前の話(1995年頃)なのですが。
 夜9時過ぎ、新宿駅を出たばかりの埼京線が、いきなり「急ブレーキ」をかけたことがありました。
 私は友人と二人で食事をした後の帰宅途中だったのですが、夜9時過ぎとはいえ、電車の中は仕事帰りのサラリーマンや、一杯やったあとのサラリーマン、OLなどでひどく混雑していました。その急ブレーキが「本当に、あまりにも急過ぎた」ものだから、車内で立っていた人達の8割が「転倒」してしまったのです。
 勿論、私も友人も、その一部でした。
 車内には、車掌さんの慌てるような放送が響き渡りました。でも、何が理由の急ブレーキかは分りませんでした。

 何故なら──車内は「笑い」で満ちていたからです。

 みんな、あまりに急なことだったのでびっくりしすぎて、倒れ込んでしまった相手に「ごめんなさい、ごめんなさい!」とひたすら謝っていました。
 謝られた方も「いや、大丈夫です、こっちこそごめんなさい!」と謝り、あっちこっちで「ごめんなさい!」の大合唱。
 勿論、私も友人に(私の場合、友人がほぼ全体重かけて重なって倒れてしまったのですが)「ごめんね! ごめんね!」と謝られて、私も「ううん、平気だから気にしないで」と笑って答え、車内はあちこちでそんなこんなの大騒ぎだったのです。
 でも、あまりにみんなが同時に「ごめんなさい!」を叫んだものだから──何だかおかしくなったのか、みんな一斉に笑い出してしまいました。「何が原因の急ブレーキ」か、そんな理由なんてどうでもいいぐらいに、みんなその場を楽しんでいたのです。
 その後、電車は何事もなかったかのように走り出しましたが、「たった一瞬」でも、その車内にいた人達全員が「笑い」を共有した瞬間でした。

 人は──本当なら「疑念」なんて持ちたくない存在なのだと、私はそう思います。
 出来るものなら、「信じたい」。
 そして、触れあいの中で「笑って暮らしたい」。
 でも、そう出来ない現実もある。前回の記事にも書いたように、この世には「哀しみもいっぱいあるから」です。
 だからこそ、疑わざるを得ない状況だって、たくさんあるでしょう。
 でも、「信じられぬと嘆くよりも、人を信じて傷つく方がいい」──かなり古い歌ですが(苦笑)、金八先生の「贈る言葉」のこの歌詞の境地を大事にしたいと、最近とみにそう思う次第です。


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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


【篠崎の著作本】

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