「深海の意識」は、状況に囚われない

 以前から私は、「ポジティブシンキング」という言葉を振りかざす姿勢が、好きになれませんでした。
 そもそも心の在り方を固定化すること自体に無理があると思うし、常に流動しているのが自然の働きである思考を定着させようとすることそのものに、疑義を抱いていたからです。
 奇しくも今から5年ほど前──2004年後半ぐらいから2007年にかけて、スピリチュアル分野ではやたらに「ポジティブシンキング」という言葉がもてはやされました。ポジティブシンキングという言葉が流行りはじめたきっかけは自己啓発セミナーや成功哲学に端を発しているのですが、当時の日本におけるスピリチュアル分野はまだ開発途上だった為、同じ頃に流行った自己啓発や成功哲学との境目が曖昧になってしまったことが原因のひとつかもしれません。
 当時はポジティブシンキングと並んで、ソース(源)や「ワクワクを探す」といった言葉も沢山溢れていました。私の周囲にもそうした言葉に染まった人達が沢山見受けられましたが、一年もすると疑念を抱き初め、二年もしたらほとんどの人がそこから離れていました。それどころか、「私は『脱・スピリチュアル』したから!」なんて平気で言っている人を見ていると、その移り身の早さに呆れるのを通り越して憤りさえ感じます。

 あなたに精神性の一体何が、理解出来たのか──と。
 精神はもっと深いものであって、一年や二年囓ったところで何も分からないだろう。それをちょっとやってみて自分の人生が向上しなかったからって、卑下するような言い方をするのは早計だ。精神の探究を、自分のエゴに利用するな──と、そういう言葉を聞く度に思ったものです。

 とはいえ、本来そうした言葉を固定化することで心理面に影響をさせようとする姿勢そのものに問題があったのも事実です。
 当時、ポジティブシンキングという言葉に染まって、必死にワクワクを探そうとした人達は、こぞってこう言いました。
「自分が『ワクワク』しているかどうか考えると、途端に冷めてしまう」と。
 ワクワクの語源は分かりませんが、音のイメージから言って「湧く」に関連しているように思います。だとしたら、「湧く心情」は理屈や思考、頭で捉えられるものではないはずです。感情に理屈をつければ、ただの「ヘ理屈」でしかありません。
 本当は何も湧いていないのに、無理矢理「次から次へと湧いている感情」になろうとすれば、歪みが生じるのも無理のないことです。ポジティブシンキング推奨者が寝返ってネガティブ推奨してみたり、或いはたったひとつの結果だけでスピリチュアルを括って全否定に走ってしまうようになる人がいたのも、あながち仕方がないことなのかもしれません。

 精神とは、海のようなものだと私は思います。
 嵐になれば大きく荒れるし、澄んだ青空の時は美しく光り輝きます。
 どんな嵐の時にでも「必ず澄んでいろ」という考え方の方が土台無理な話だと、私には思えるのです。

 精神を海の表面部分にしか感じられないと、天候などの状況に逆らってでも「光輝かなければならない」──そう思えてしまうのかもしれません。
 しかし、海は深いのです。
 どんなに天候が荒れたとしても、深海では静寂が包み込み、深海魚たちが穏やかに海を遊泳していることでしょう。
 晴れた日も、荒れた日も、まるで外部とは切り離されたかのような静かな世界が横たわっています。
 そこにあるのが──深海のような静かな領域にあるものこそが、本来の精神の芯部ではないかと私には思えるのです。

 ポジティブもネガティブも、二元性を超えていません。
 どちらが大切、どちらは不要というのではなく、両者のどちらにも囚われない視点こそが、一番大切なのだろう──そう思うのです。
 人間生きていれば、必ず辛いこともあるし、同様に楽しいこともある。それを総じて眺められる静かな目こそが、もっとも尊いもののように思えます。
 底抜けに明るくなる必要もなければ、いつでも冷静沈着でいなければならないわけでもない。怒ってもいいし、凹んでもいいし、落ち込んでもいい。
 ただ、自分の蠢く感情を静かに見つめられるもうひとつの視点を感じられていれば、人は常に静寂の中で生きられるものなのかもしれない──。

 私も人間ですので、不安を感じること、哀しくなること、辛くなることもあります。
 しかし、そうした状況の変遷と共に生きる自分自身を、客観的に見つめていたい──そう思っています。
 今、時代は二極化の波と、生まれ変わろうとする磔(繭)の状態で交錯していますが、状況に揺り動かされない「深海の意識」を見出すことで、どんな嵐にも惑わされない耐久性が生まれるものなのかもしれません。


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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


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