生と死の狭間

 今から6年以上前。まだ体外離脱が頻回に起こっていなかった頃のことです。
 眠っている最中に、気がついたら肉体を抜け出していた──ということがありました。
 その抜け方はあまりにも唐突で、寝る直前の記憶さえ残っていないような状態でした。「私」という存在だけは認識出来たものの、私がどうして暗闇の中にいるのか、何をしているのか、まったく分かりませんでした。

 やがて私は、「自分は死んだのだ」と勘違いしてしまいました。
 ですが、痛みもなければ哀しみもありません。ただしみじみと、「ああ、きっと死んだに違いない──」そんな思いだけが過ぎったのです。

 次の瞬間。
 あっという間に、私を包む空気が変わったのを感じました。
 その空気は──表現するのも難しいのですが、あえて言えばこんな説明が妥当かもしれません。

「まるで、酸素の代わりに『愛』が、そこらじゅうを満たしているかのよう」

 とても濃厚な愛が、世界中を包んでいるかのように感じられたのです。
 よく天国には「甘露」が流れていると言いますが、確かに言葉で表現したら「甘い露」と言えるかもしれません。そして、私を包む気すべてに意志があり、それらが愛に満ち溢れていたとも言えます。
 私は、とても感動しました。
 こういう場面に出くわして浮かぶ言葉は、「ありがとう」──それに尽きます。
 私はとにかく、すべての人──出来事──存在に感謝をしていました。何度も「ありがとう、ありがとう」と繰り返しながら、トンネルのようなところを勢いよく昇っていったのです。
 これがもし「死」だとしたら、途方もない幸福だ──そうとさえ、思った程です。

 ……ところが。

 何を思ったのか、私は途中で昇るのをやめました。
「そうだ。逝く前に、姉ぐらいには挨拶しておこう──」
 そう思って、また戻ろうとした瞬間──

 ──目が……覚めてしまいました。

 しばらくは記憶が混乱してよく分かりませんでしたが、「自分はまだ生きている」と思った時に、何故かちょっと惜しい気がしてしまいました(苦笑)。
 あのまま逝けていたら、どんな世界が広がっていたのだろう──そう思うと、何だか残念な気がして仕方なかったのです。

 臨死体験をした人というのは、身内の人が迎えに来たとか、美しい花畑に出たとか、私のようにトンネルのようなところを勢いよく昇っていったとか、そういうことを話されています。
 ちなみに、私がこの「トンネルのようなところを昇っていく」というのは、この時が二回目でした。20歳頃にも自分が死んだと勘違いをして、同じようにトンネルのようなところを昇っていったことがあったからです。(すぐに死んだと勘違いするなんて、そそっかしいですね──)
 何故このように、大抵同じような体験になるのかは、とても興味深いことです。

 霊界よりもこちら側に近い幽界は、死んだ霊が少しずつ生への執着を解き放てるよう、今の世界に似た造りになっていると聞きます。
 実は私自身、臨死体験とまでは行きませんが、あと三歩か四歩ぐらいであの世に行っていたかもしれない──という体験があります。
 26歳の時に、婦人科疾患が原因で5時間近くに及ぶ手術をしたのですが、その時の全身麻酔が効きすぎて(自覚はなかったのですが、麻酔に対してアレルギーがあるようです)長いこと意識混濁に陥ったことがありました。同伴していた身内の話によれば、血圧がずっと低下し、脈拍も微弱な状態がずっと続いていたそうです。

 その間、私は不思議な街に行っていました。
 夢にしてはリアルで、かといって体外離脱をした時ほど鮮明なわけではありません(もっとも、まだ26歳の時は体外離脱体験があまりなかったので、今になって比較出来る程度ですが)。
 どこにでもある普通の街並みを、私はひとりで歩いていたのです。
 その街は見たことがあるような、それでいて一度も行ったことのない街でした。普通に家々が建ち並ぶ住宅地で、公園もあって、お店もあります。
 なのですが、不思議なことに人っ子一人、いなかったのです。
 私は無人の街の中で、ひたすら「誰か」を捜していました。誰を捜していたのか、今でもわかりません。とても親しい間柄だったようなので、おそらくは私の亡くなった祖父や、身内だったのかもしれません。
 ひたすら歩き続け、ふと気がつくと──麻酔も切れていたせいか「ひどい痛み」で、目が覚めました……。(ある意味、逆に地獄に戻ったかのようでした……。)

 私は自分の実体験も含めて、死んだ後も人は決して消滅することなく存在し続けることを確信しています。
 それは、肉体を亡くした後に現れた人達の存在によっても、確信出来ることです。
 死後、自分が果たしてどこに行くのか──気になる方は、多いかもしれません。
 しかし、その場所を決める為に「今」、生きているのだと──私には思えるのです。

 もしも、人間が本当に死んだ後も尚、自分は存在し続ける──そう思ったら、かなり価値観が変わってくるような気がします。
 善行は法律や評価の為に行うものではなく、霊性を磨く為に率先してすることであるということに、多くの人が気づけるはずです。
 また、悪行は罰則を避けたいからしないのではなく、霊性を落とすことを避ける為に自ずからすべきではないということにも、気づけるはずです。
 法律に規定があるとか、ないとか、そんなことが判断基準にはならないのだということに、多くの人が気づけるでしょう。

 生と死という対峙──これもまた、二元論の特徴です。
 新たな時代を地球が迎える時には、この境界もまた取り払われることになるのかもしれませんね。


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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


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