放射能に過剰反応しすぎることへの懸念

 先日、東京の浄水場で暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出されました。
 そして、今日は埼玉県川口市の浄水場から──。
 おそらく、こうした検出結果は日に日に周囲へ波及していくことでしょう。

 私が懸念しているのは、それに対する人々の過剰反応です。
 すでに東京では、飲料水の買い占めが始まっています。しかし、そうやって買い占めれば買い占める程、本当にそれが必要な人達──原発のすぐ近くにいる福島の人達に渡ることが出来なくなってしまいます。

 私は、こういうニュースを聞くと、とても哀しくなります……。
 「被災者の人達と痛み分けをしよう」みんなでそう思ったのは、一時的なことなのですか?
 それとも、自分にとって対岸の火事の時はいいけれど、ちょっとでも自分に害が及ぼされると分かったら手のひらを返す程度の、上っ面な思い遣りでしかないのですか?

 本当に辛いのは、福島で避難生活を送っている人達なのです。 
 家もあって、食事もとれて、暖もとれる「私たち」ではありません!


 福島県相馬市の市長の話によれば、今、すでに「食糧も尽きかけている」と言います。物販輸送の人達が行きたがらない為に、自由に食糧が手に入らない──。
 また、同じ福島で避難させられている市(どの市だったかは覚えてないのですが)の市長が言うには、物販輸送の際に「ここまで取りに来い」と指示されたそうです。(その指示は、明らかに「自分たちは寄りつきたくない」といった姿勢からでしょう。)避難生活を強いられ、ガソリンもない市の職員達は、それでも必死に指定された場所まで向かったそうです。
 私は、その話を聞いて、とても哀しく思いました。
 同じ「日本」にいるのに、餓死しかけている人達がいるという現実を、もっとしっかり受け止める必要があるでしょう。

 昨日、大槻教授が「出荷止めしたほうれん草も牛乳も、全部自分が食べる」と言ったそうです。
 私はその話を聞いて、正直言って大槻教授を見直しましたね(笑)。私も、同じ気持ちだからです。
 大槻教授は、ご自身が放射能の研究をしていたから「検出された値が、人体に無害であることを実感している」のだそうです。長期摂取していれば多少の害もあるでしょうが、「だいたい、この騒動が一年以上続くと思っているのか?」と教授は言っていたのだとか。

 ちなみに、皆さん──。高度経済成長の頃、「知らないうち」にどれほど人体にとって有毒なものが周囲にあったかをご存知でしょうか?
 アスベストの含まれる建物が多く造られていたのはもとより、廃水を海に垂れ流ししていた関係でダイオキシンを含んだ魚介類がたくさんあがり、その時代にそうした食物を(知らずに)食べて育った女性の多くは「子宮内膜症」になる率が高まったそうです(ちょうど私の世代の人達です)。
 それに比べたら、ほうれん草や牛乳・飲料水問題は、まだまだ「微々たるもの」だと言えるでしょう。
 「長期摂取していたら、害があるもの」なんて、実際に調べたら「山のように」出てくると思いますよ。

 とはいえ、何故このように「飲料水の買い占め」といったパニックになるかと言えば、政府の言っていることが「主旨一貫していないから」というのが、一番の原因と言えるでしょう。
「ほうれん草も牛乳も、人体に害はないが、出荷止めしておく」と、「人体に害はない」としておきながら「出荷止めにした」ということを受けて、過敏に反応してしまう人達も少なからずいるでしょう。
「人体に害がないなら、何故出荷止めにしたのか? 今回も人体に害はないと言っているが、本当なのか?」という疑いを持ってしまうのも、……まぁ、無理もないことなのかもしれません。

 もっとも昔の政府であれば、規定値を超えたことさえ「内密」にしたかもしれません。こうやって公開してくれるだけ、私は「ありがたい」と思います。
 だからこそ、私たち市民の方が冷静になって判断することが大切だと、そう思います。

 私は、今こうして深く傷ついている人達がいる中で、自分だけがのうのうと幸福になりたいとは思いませんし、仮に日本がこれから先もっと厳しい試練にあうのであれば──「共に自分もあおう」という決意があります。
 私は、いっさいの買いだめをしていません。飲料水も勿論、食べ物もです。
 何故なら──3月11日のあの日を、思い出してください。多くの村や町が津波に呑み込まれた時、人々はそういったものを持って逃げていたでしょうか?
 ほとんどの人が「着の身着のまま」だったはずです。
 
 災害とは、そういうものです。
 どんなに備えたところで、家が潰れれば意味がない──。ましてや、波に呑み込まれてしまえば、すべては流されてしまうのです。
 そうした時、たまたま運よく「自分たちの分だけ、備えがあった」としましょう。
 でも、周りの人達には備えがない──その上、分け与えられるよりも大勢の人達がそうだったら……。 

 私は、かえって「自分に備蓄があること」によって、苦しむと思います。
 分け与えたくても、分け与える程の数はなく──多くの人達が共にいるのに、助けることが出来ない。

 それなら、私は「最初から、何も持っていない方がいい」──そう思うでしょう。
 助けることが出来ないのなら、せめて「共に苦しみたい」──そう思います。

 勿論、それは人それぞれの考え方です。皆さんに「そうして欲しい」というのではなく、あくまでも私自身のスタンスでしかないので。
 また、それは私が「ひとり身」だから出来ることでもあります。もし私に子供がいたら、そこまで覚悟出来たかどうか……それは分かりません。
 ただ、だからといって必要以上の買い占めはやはり「無意味」だとしか、言いようがありません。タレントの江頭さんのように、自分で買い込んでそれを被災地に単独で持っていく──というのなら、話は別ですが。
 今は何よりも、自分たちよりも、もっと厳しい環境におかれている人達がいるんだということを、念頭に措くべきだとそう思います。

 多くの人が、「被災地に、何か出来ることがあるだろうか」と模索していることでしょう。
 日本人の良さは、その「優しさ」にあります。
 しかし時折、人によってはその優しさがあまりにも表層的で、簡単に手のひらを返してしまう人も中にはいます。
 今、私たちが置かれているこの状況下における学びは「人間としての深さを、築き上げること」なのでしょう。昨日の記事にも書いたように、太陽が象徴する生き方を目指すのであれば、付和雷同的な同情の言葉だけをちらつかせるのではなく、もっと深いところから、誠意のある言葉と決意で、行動することが大切だろうと思うのです。

 このブログを読まれている読者さんの中には、同じようにブログ、或いはツイッターなどでご自身の意見を発信している人もいるかと存じます。
 そうした方は是非、ひとりでも多くの方に「買い占めをやめるよう」呼び掛けて頂けたら幸いです。

 一番辛いのは、「被災地にいる人達」なのです。
 いつ解除がとけるかもわからない状態で避難所生活を送っている福島の方々は、精神状態もギリギリなはずです。
 そして、そこには年端もいかない子供達だって、大勢いるのです。
 無意味な買い占めや、放射能に対する過剰な反応は、現地にいてそうした苦悩にひたすら耐えている人達に申し訳がたちません。 
 彼らに手助けすることが出来ない以上、せめて私たちが、冷静な視点で日々を送っていくことが大切なのではないでしょうか?
 
 ひとりでも多くの方が、節度ある行動をしてくださるよう──願ってやまない昨今です。

 ──24日16時追記──
 参考までに、放射線に関わる記事をリンクしておきます。

 ●東京電力福島原発事故について─放射線のレベルについて─
  http://www.aesj.or.jp.cache.yimg.jp/info/pressrelease/pr20110316.pdf

 ●被爆すると健康にはどんな影響が
  http://www.yomiuri.co.jp.cache.yimg.jp/science/news/20110313-OYT1T00281.htm

 ●放射線は「甘く見過ぎず」「怖がりすぎず」
  http://synodos.livedoor.biz/archives/1710889.html

 起きてしまったことは、もう仕方ありません。今私たちに出来ることは、冷静に状況を判断することだけでしょう。
 ですが、これから起こる災害について、回避する必要性はあります。
 私は以前から「原子力発電反対者」であったというのは、先日の記事にも書いたとおりです。具体的に危険、危険じゃない云々ではなしに、社会的にこれほどのダメージを与えるという意味でやはり原子力における発電には疑義を掲げます。(それ以上に、私は「核分裂を起こさせる」という行為そのものに反対しています。私たちが知らないだけで、核の中にもミクロな生命が存在するかもしれないからです。もともとある自然の元素を「破壊してエネルギーをとる」という行為そのものが、危険をはらんでいると思える次第です。)

 現地で精一杯作業を続けている東電の方、およびその協力会社の人々には本当にありがたく思います。
 起きてしまっていることについては、私たちひとりひとりも協力する体制が必要でしょう。
 しかし、今回の社会現象を教訓にしてこれからの未来に対しては、新たな方向性を見出していくことが出来ればと、心から願う次第です。 



●多くの方に、「真剣な目で地球人類の進化に意識を向けて欲しい」と、強く願っています。
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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


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