『偽善者』と誰かを責める時。それは『あなたが偽善者』となる瞬間。

 気がついたら、はやGWも終わりですね。企業であれば有給をとって今週全休にしているところも多いでしょうが、学生の身分である私にとってはまったくのカレンダー通り……。この3日間に予定していた勉強と執筆は半分も終わってない状態で──気分は「新学期を目前に控えているのに、宿題を終えていない小学生の気分」です……。
 このまま夏休みまで、乗り切らなくてはいけないのですね……。
 日々忙殺されないよう、頑張ります──(涙)。

 自業自得な愚痴はさておき。
 最近知ったのですが、震災における募金行為やボランティア行為などで「偽善者扱い」されてしまう人がいるそうです。先日ネットで、「募金をしたところ、知人に面と向かって『偽善者』と言われてしまった」という相談などを見かけた程。
 ある意味、こうした「偽善者扱い」というのは、日本人独自のもののような気もします。
 本来、「相手がどのような行為をしてようと、相手の選択の自由」なのであって、同時に「自分がどういう行為をしても、それもまた自分の選択の自由」のはずです。相手がしている行為に対して「偽善者だ」とひとりよがりなジャッジをしてしまう心情そのものが、「自分と他者の生き方に対する境界が曖昧」であることの現れだと思えます。
 これはひとえに、「他者と自己の認識が不明瞭」になりがちな日本人に、よく見られる特徴かもしれません。個人が確立し、個々人における責任を認識している欧米社会では、こうした言動はあまり見られないような気がします(そもそも欧米の方が日本よりもボランティアが盛んなので、最初からそうした視点に立たないのかもしれませんが)。

 「偽善者」という言葉を吐いてしまったその人の心情の中にも、何らかの葛藤や複雑な思いもあるのでしょう。
 しかし、根本的なことを言ってしまえば、相対的次元において、偽善という言葉は「成立しない」と私は考えています。

 そもそも、偽善とは一体何なのでしょう?
 文字で言えば「ニセの善」となります。一体何をもって、「その善行はニセだ」と判断出来るのでしょうか?
 ここで、喩え話をしてみましょう。

 むかしむかし、あるところにひとりの旅人がいました。
 その旅人は怠け者な上、とてもケチな人でした。どうにかして宿代、飯代を浮かせる方法はないかと考えた挙げ句、「いい人のフりをして、タダ飯タダ泊をしよう」思いついたのです。

 旅人はある村に行き、その村で病を患っている人達を「無料で治してやる」と宣言しました。
 村人達は驚いて、「報酬はいいのか」と聞きました。旅人は、こう答えました。
「私は、みなさんに喜んでもらいたいだけだから、報酬などはいりません。神のお慈悲に、報酬など必要ないのですから」
 村人達はどよめきました。その後、旅人は慌ててこう付け加えたのです。
「ただし、私も人間ですので食事もとれば、睡眠もとらなければなりません。どうかどなたか、私に食事と宿を提供してください」と。
 勿論、この付け加えたことそのものが「旅人の目的」なのですが、人の好い村人達は旅人の悪巧みなど気づくよしもありません。村人達は「何だ、そんなことなら容易いことですよ」と、すぐに旅人を歓迎しました。一番裕福な家に寝床をとり、一番いい食事を与え、そして、病人のもとへと導いたのです。

 もちろん、旅人は医師でもなければ呪術医でもありませんから、病人を治すことなど出来ません。だから、治すような素振りだけして、適当なことを言えばいい──そう思っていました。涙のひとつも流して「これだけ頑張ったけど、私には到底力及びませんでした。私は無力な駄目な人間です」と自分を責めるフリでもすれば、みんな許してくれるだろう──そう思ったのです。

 そして、旅人が予測したとおり、病人を治すことは出来ず──その人は翌日に息を引き取りました。
 旅人は大袈裟な程に泣き狂い、「私は無力な人間です」と、演技の懺悔をしました。
 村人達は、とても残念そうでしたが──でも、すぐに笑顔でこう言いました。
「どうぞそのように自分を責めないでください。あなたがこれほどまでに私たちのことを思ってくださった、そのことだけが私たちは嬉しいのですから」と。
 そして、昨日と同じように旅人を労い、無償で食事を与え、安らかな寝床を与えたのでした。旅人がその場にとどまる間、手を抜くことなく旅人に施しを与えたのです。


 本来の「むかしばなし」なら、この辺りで旅人に「ガツン!」と一発バチが当たるのでしょうが、今回は「偽善」について考えるのが目的ですので、ここで喩え話は「おしまい」です。「すっきりしない! 旅人に一泡吹かせたい!」という方は、是非、続きをご想像くださいませ(笑)。

 さて。皆さんはこの喩え話を読んで「誰が偽善者なのか」を答えることが出来るでしょうか?
 ここでは旅人の側の心情を明かしているので、旅人の視点で読んでいる以上「旅人が偽善者だ」と思うでしょう。
 でも、旅人の本音を「村人達は、知らない」のです。
 もしこの物語を「まったく逆の視点」で、村人を中心に描いたとしましょう。
 村人達が不治の病人を抱えて困っていた時に、ひとりの旅人が現れた──懸命に治療してくれたけれど、結局治らず、そのことに激しく泣きじゃくる旅人の姿だけが描かれていたら……どうでしょう? 旅人のことを「偽善者」と言えるでしょうか?
 
 ここまでくれば、お気づきの方もいるかと思いますが──要するに「偽善」は他者の行為の中に存在するのではなく、「その行為を見る人の『こころの中』にある」ということなのです。
 すなわち、どのような善行も、「それを見る人のこころの中に、偽りが存在している」のであれば、「偽善」として見えるのです。
 でも、逆にどのような偽善であっても、「それを見る人のこころの中に、まったく偽りがない」のであれば、「純粋な善」として見えるのでしょう。

 「偽善者!」といって誰かを責める時、
 そう責めている「その人こそ」が、偽善者となっている──
それが、「偽善者」という言葉のパラドックスなのです。
 すなわち、この相対的な次元においては「偽善というフィルター」で見ることの出来る者に「しか」、偽善は「成立しない」ということになるのです。

 日本人は善良な人が多いけれど、何故かこの「偽善」という言葉に過剰反応してしまう人も見受けられる気がします。
 そう言われてしまうと哀しいのは当然ですが、あなた自身のこころの中に「何の策略」もないのであれば、最初から堂々としていればいい──私はそう思います。
 相対的な次元においては、自分が自覚する以上に自分の誠実さを他者には伝えられません。相対的なこの世界では、あなたの本音を知っているのは、誰よりもあなたに他ならない──偽善という言葉に傷ついた人は、是非、そのことを思い出して頂きたく思います。

 私自身は、自分が偽善者と揶揄されようと、何とも思いません。
 自分が最初から「偽り」の気もちで行為しているわけではないことを、自分自身がよく分かっているからです。
 一番裏切ってはいけないのは、「自分自身」です。自分に正直になり、そして自分の行為に責任と確信を持てる以上、周りがやんややんやと言う「偽善者」という言葉に耳を貸す必要はない──私はそう思っている次第です。 

  
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2011-05-05 | 真理 | トラックバック(0) |
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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


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