物質世界という名の檻

 父の死に関して、多くの方からメールを頂きました。
 お心遣い、誠にありがとうございます。本当はきちんとお返事したいのですが、しばらくの間は時間が取れないと思うので、この場での御礼にてかえさせて頂きます。

 最近、「人間社会における死」についてよく考えています。
 普通の「死」であれば、前回の記事にも書きましたように、三次元における拘束からの解放と私は考えています。しかし、「人間社会における」という前提がつくと──話はまったく、変わってきてしまうのです……。

 今現在、私は「死そのもの」と向き合う間もなく、ただひたすら葬儀準備に追われています……。
 亡くなったのは23日ですが、すぐ連絡したにも関わらず斎場の予約がとれなかったので、通夜が一週間延びてしまったのです。
 その為、告別式が終わりすべてが完結するまで、かなりの時間が出来てしまったという──。(余談ですが、妙に最近「亡くなる方」が多い気がします……。私の近所の斎場も、毎日通夜なり葬儀がされている程です。かなり高額な斎場なので、今までそんな頻回に葬儀がされているところなど見たことないのですが──。ある意味、これも2012に向けてのひとつの流れなのだろうか、などと感じています。)

 父が危篤になってから亡くなるまでよりも、亡くなってからの方が「忙しい」気がします……。
 何よりも「葬儀の準備」が大変で──経費を削減しつつ、でも「多くの弔問客(金はないクセに、人脈だけはある親なので;)」が見込まれる為、帳尻あわせるのでてんやわんやです。

 しかし──。
 そうした葬儀の対応に追われる中で、ふと思うのです。
 葬儀とは、果たして「誰のため」にあるのだろうと。
 私は前からそのことを疑問に思っていましたが、自分が直接的な体験をするまでは「遺族のためにやるのだろう」と、そう思っていました。
 まぁ、「死を自覚していない故人に、気付かせる為」というのもあるでしょうが──私が思うに、最初から死を自覚出来ていない故人の場合、葬儀程度では「自覚しないだろう」と思います。おそらくは、まるで他人事の顔して遺族席に座っているような気がしますので(事実、そういう例が沢山あるのだと、霊感のある僧侶が語っていたのを思い出しました)。
 だから葬儀はむしろ、「故人との決別を自覚するよう、遺族のためにするのだろう」と、そう思っていたのです。

 なのですが──。
 いざ自分が直接的な遺族になって思うのは、「故人との決別をするのであれば、葬儀なんて厄介なことしない方が、遙かに心の整理がついていい!」ということでした……。
 葬儀の段取りだの弔問客への配慮だの──ぶっちゃけ三次元の拘束ばりばり!で、今になっても「何のためにするのか」まったく分かっていないまま、周りの意見に押し流されて動かしているといった感じです(「周りの意見に動かされるなんて、篠崎らしくない」とお思いの方もいるでしょう。ですが、残念ながら故人は「死に必ずしも達観していた」とは言えない父であり、喪主は母なのです。そうである以上、彼らが重んじる世間の慣習に、私も従わざるを得ないのです──。)

 はっきりいって──かなり「しんどい」です……。
 すごく協力的になってくれている親族がいるからこそやっていられるようなもので、それもなければ、「葬儀の意味」について模索する為、山奥の庵にでも籠もってしまいそうな勢いです(……籠もっているうちに、葬儀が終わってしまいますな……)。
 葬儀やそれに纏わる慣習は、そこに住む人達の「地域性」や「伝統」を意味するものでしかなく、直接的に故人の霊魂への浄化に繋がるかといえば、そうではないようにも思います。また、これだけ信仰心が薄くなった社会においては、「この宗派のもとで、旅立ちたい」という思い入れもそうそうないでしょうし、ますますもって「葬儀とはなんぞや?」という思いに駆られます。
 以前注目された映画「おくりびと」は残念ながら見ていないので、もしかしたらそこに「葬儀における意義」があるのかもしれませんが──どう百歩譲っても、私にとってこうした儀式は物質世界における区切りでしかなく、あまり「意味がない」ように思えてならないのです……。
 少なくとも、今回の一件を通じて私は「自分が死んだ時の為に『散骨』の申込みをしておいて(最近では、死亡保険のように事前に申込みしておけるシステムがあるようです)、遺書にも『葬儀をしないでいい』と残しておこう」と、つくづく思いましたが……。

 本来、誰かの負荷になるような儀式というのは、筋が違っているのではないかと感じます。
 結婚式にしたって、「節目」とは言いますが、そんなものは自分で自覚すればいいだけの話であって、わざわざ披露するものでもない──世間ではよく「いきなり結婚式に呼ばれて、金がかかって困る」なんて意見も聞きますが、そんなふうに周りに迷惑をかけてしまうものを「する必要性って、あるのだろうか」と私は疑問でならないのです。

 勿論、周囲が「自主的に」というのであれば、話は別です。
 黒澤明監督の映画「夢」に出てきたように、「死んだ人を、村人総出で踊りながら送り出す」というのは、なかなかいい姿勢だなと思いました。
 あの作品に書かれていた死は決して「ネガティブ」ではなく、「今までお疲れ様」という意味で、まるで旅人を見送るかのように笑ってみんなで送り出すというスタイルで、個人的に「すごくいいな、こういうの」と感じました。
 こういう葬儀であれば、送られる方も幸せだろうし、送る方も「楽しい」でしょう。また逆に、そんな葬儀に参列した側も「こんなふうに自分も見送られたいから、精一杯頑張って生きよう」というモティべーションに繋がるかもしれません。

 どうせ儀式をするのであれば、みんなが幸せになるものであって欲しい──そう思います。
 今ある葬儀のシステム、これだけ永く慣習として残っている以上は「必ずや、意味がある」のだと思えます(もっとも、江戸時代などのシステムは上記紹介した「夢」に近いシステムだったのかもしれません。唯物的視点が入ることによって、葬儀の意味も変わってきたのかもしれませんが──)。
 しかし、様々に時代が変わってきて、「肉体に宿っている時だけがすべてではなく、むしろ、その時の方が『かりそめ』かもしれない」と思われるようになった「今」も、多くの負荷をかけて葬儀をしていく意味があるのだろうか──と考えずにいられません。
 これらはあくまでも「物質世界のシステム」であって、故人の霊魂をさておいた「表層的は廻り」でしかないように思えてしまうのです……。

 今まさに、私は「物質世界の檻の中」に閉じこめられているような感覚です。
 自分ひとりの問題であればはね除けられますが、多くの人達の思いが絡んでいる以上、そうも出来ません。
 おそらくは、これもまた私の「学び」なのでしょう。自分の価値観とは大きく異なる渦の中で、その「つなぎ目」を辿りながら今を生きている──といった今日この頃です。


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2011-05-26 | 社会 | トラックバック(0) |
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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


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