ある牢獄の物語

 今から「喩え話」をします。この物語の登場人物A・B・C──自分は誰に共感するか、或いは「自分だったら、誰に近いか」を考えながら、ぜひ読んでみてください。


 あるところに、とても大きな「牢獄」がありました。その牢獄には老若男女、色々な年齢の人がいれば色々な民族の人もいて、種々様々な人達が服役しています。
 しかし、そこに暮らす人達は「何が理由で」牢獄にいるのかが分からないので、牢獄の外に世界が広がっているかどうかも知りません。生まれてからずっと、塀に囲まれた空間だけを「すべて」と受け入れ、毎日を暮らしています。

 その牢獄を見張る看守達もまた、色々な人がいました。囚人達のことを思いやる人もいれば、横柄に支配しようとする人もいます。この牢獄では「横柄に支配しようとする人」の方が多いのか、牢獄内は理不尽な重圧や差別なども蔓延っていました。

 ある日、そんな重圧や差別と闘おうとして、囚人達が暴動を起こしました。しかし、牢獄の中では看守達に勝つ術はありません。そうした囚人達の訴えはむしろ逆効果となり、かえって重圧は厳しいものとなったのです。
 ますます重圧が酷くなっていく中、一部の囚人達は看守の行為をひとつひとつ挙げ連ねて、抗議をし続けました。しかし、それをすればする程重圧はさらに厳しくなっていきます。
 ある時、囚人のひとりである青年Aが、抗議を続けるBにこう告げました。
「これ以上抗議をするのは、かえって逆効果ではないだろうか。僕たちはどこから来たかも知らなければ、この牢獄の外に何があるかも分からない。いつからこのように支配されて、これからどうなっていくかも分からないんだ。ここをすべてと思っている人達にとってこれ以上の重圧は、精神的にも耐えられないものとなる危険がある」
 しかし、Bはこう返します。
「何を言ってるんだ。お前はこれほどの重圧を受けて、悔しくないのか? 俺は絶対に、看守達の鼻をあかしてやらなければ気が済まない」
 Bはとても意気込んでいたので、Aはそれ以上語るのをやめてしまいました。

 Aの予測は正しく、B達が反旗を翻すたびに重圧はますます酷いものとなっていきました。そしてついに、脱走する者まで出てきてしまったのです。
 しかし、脱走したものはひとりも戻って来ませんでした──。
 この牢獄の中にいると、人は「死ぬ」ことがありません。老いて死んでも、また違う存在として生まれ変わってくるので、いつまでもこの牢獄の中で生き続けることになるのです。そのため、脱走した人達が戻って来なかったということは、自由になったのか──或いは、どこかで倒れて「本当の死」に辿り着いてしまったか、どちらかも分かりませんでした。

 そんなある日、牢獄に「ひとりの面会者」が訪れました。
 その存在と囚人達はほとんど接することはありませんでしたが、その面会者が訪れたという噂を聞きつけ、牢獄内に歓喜の声があがりました。

「外には世界が存在するんだ! いつか自分たちも、外に出られるかもしれない」

 そんな希望が、牢獄の囚人達に満ちていきます。
 「外の世界の存在」を知ってから牢獄の中には希望の光が舞い降りましたが、ずっと闇だったところに光が射し込んだことで、かえってそこには「混沌(カオス)」が生じたのです。それはあたかも、何かをふるい分ける意図があるかのような、そんな混沌でした。

 色々な人達が「それぞれ、別の行動」を取り始めました。
 Bは相変わらず、看守達への反旗を翻しています。外の世界に自分たちが行くには「看守達の悪をすべて叩かなければならない」──そう思っているようでした。勧善懲悪という文字が、Bの中には廻っていたのです。Bは「Bなりの正義」の為に、信念を貫いていました。
 一方Aは、Bの行為に対して懸念し続けていました。暴力に本当に勝てるのは「それを包み込む程の調和でしかない」と、そう思っていたからです。暴力に対峙すればする程、牢獄の雰囲気は悪くなり、人々の気持ちも塞ぎ込んでしまう──せっかく外の世界の存在が分かった今、それをするのはかえって良くない、Aはそう結論づけたのです。
 外の世界に出られるには、やはり「外の世界に相応しい意識」になることが一番でしょう。それに、ただ外の世界に出ることを期待しても「意味がない」──Aはそう思いました。外の世界だけに依存することなく、その助けを期待してばかりいるよりも、「自分たちが変わっていこう」──そう思ったのです。そうすることで、看守達の横暴な態度も「変わっていくのではないか」、Aはそれに期待をかけました。

 光の力が強まれば、闇は自ずと行き場を失います。Bのように闇と対峙するのではなく、反対勢力である光を呼び込むことで変わっていく道を、Aは選んだのです。イソップ童話にある「北風と太陽」で言えば、「太陽」になることをAは決意しました。
 Aは、周囲の囚人達に意識を高めるよう呼び掛け、みんなが協力しあって「共に外に出られること」を願い、活動を始めました。Aは出来るだけ他の囚人達と触れ合い、囚人達の間で「調和」が生まれるよう働きかけていったのです。そうすることで牢獄の雰囲気が自ずと明るくなっていき、看守達も変わっていくことに期待をかけました。「出ることばかり」に意識を傾けるのではなく、「出るのに相応しい『自分たち』に変わっていく」ことに意識を向けたのです。

 そんなBやAとは違い、Cは「外の世界に出ることだけ」に意識を向けていました。それは、Aが言うような「ひとりでも多くの人が、一緒に外に出られるよう」願うものではなく、むしろ「自分ひとりだけでも、あわよくば」という思いがあったのです。

「こんなに荒んだ牢獄の囚人を全員、外の世界の人が受け入れてくれるなんてことあるものか。だったら自分だけでも行いのいい囚人となって、救ってもらった方が遙かにいい」

 そう思ったCは、出来るだけ他の囚人と接触しないようにしてしまいました。Bの行為にも、Aの行為にも無関心のまま、自分が外に出ることだけをひたすら考え、願っていました。

 この牢獄がどこにあるのか──そしてこの後どうなるのか……誰にもまだ分かりません。
 いえ、もしかしたらすでに答えは出ていて、私たちはそれを「なぞっていくだけ」なのかもしれませんが。



 この喩え話、コンノケンイチ氏の「量子力学・日月神示・般若心経・王仁三郎の超結論」にあった「この世は特別な霊界=獄舎である」をヒントに創作しました。
 途中まで読んでいて気づかれた方も多いと思いますが、ここにあげた牢獄はこの世(三次元)を示しています。
 もちろん、外の世界は「高次元」です。
 そして「脱走した人」は、自殺をした人で喩えています。
 そして、それぞれの活動──Aの活動は「ひとりでも多くの人の意識改革を推し進め、全体調和を求める人達」をさし、Bの活動は「隠謀論を暴こうとする人達(看守達というのは、政治家や官僚など権力者としての喩えで挙げました)」。Cの行動は「アセンションすることだけに夢中になってしまった人達」を示しています。
   
 みなさんは、この登場人物の中で、一番誰に共感しましたでしょうか?
 おそらくは、一番共感した相手が、「今、あなたがされている行動に近い」のだと思います。

 また、この物語はもうひとつ「客観的に見つめられる点」があります。
 それは──もし自分が「外側の人(高次元存在)」だった場合、A~Cの「誰を迎え入れたいと思うか」という点です。おそらくは、高次の存在も「私たちが考えることと、そんなに大差ないのではないか」そんなふうにも思えます。

 みなさんだったら、誰を迎え入れたいと思いますか?


【参考資料】
この世[現実]はまもなく霊界化する 量子力学・日月神示・般若心経・王仁三郎の超結論 (5次元文庫)この世[現実]はまもなく霊界化する 量子力学・日月神示・般若心経・王仁三郎の超結論 (5次元文庫)
(2010/12/10)
コンノ ケンイチ

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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


【篠崎の著作本】

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