「終わりなき日常を生きろ」 この本は、オウム真理教事件をきっかけに、何故このような事件が起きたかを社会学者・宮台真司氏がまとめた本です。
オウム真理教については、1989年に起きた坂本弁護士事件や、教祖の麻原彰晃の選挙活動で、もうずいぶんと長いこと注目はされていました。また、「朝まで生テレビ」などでも出演したことがあり、新たなカルト教団として絶賛されたこともありました。
ですが、その周辺には血生臭い事件も多く、サリン事件に至るまでもいろいろな意味で注目された宗教団体です。
しかし、よもやあのような「東京の地下鉄」を巻き込む大規模なテロ事件を起こすとは、誰も予想だにしていませんでした。
私は当時大学に通いながら、医療系出版社でアルバイトをしていたのですが、一報を聞いた時は何が起きたのかまったく理解出来ませんでした。バイト先は豊島区の大塚だったので「場所が離れていたから、誰も被害にあわなくて良かったけど……自分たちもどうなっていたか分からないよね」と、社員の人に話しかけられたのを憶えています。
そして、その本当の容疑が「オウム真理教」であったことが分かった途端、人々はアレルギーを起こすかのように宗教拒否、精神世界分野への拒否反応を示しました。
そんな中、「何故、このような事件が起きたのか」――それを詳細に分かりやすくまとめ、かつ「このような事件が二度と起きないように」として書かれた本が、この「終わりなき日常を生きろ」です。
この作品における要旨としては、
「オウム真理教に入信する人のほとんどは、終末論を信じていた。すなわち、毎日続く日常に閉塞感を憶え、それを『終わらせてくれる』のがオウム真理教だと信じていた。しかし、日常は果てしなく続く。その日常を受け入れて生きていくことこそが、人間にとって必要なことだ」というものです。
当時はちょうどバブル経済崩壊から三年後あたりで、就職氷河期とも呼ばれ、物質主義の華々しさが一転し、何を信じていけばいいのか人々が混迷している時代でした。その中で、そうした「この日常を、受け入れなければならない」という宮台氏の叫びはセンセーショナルで、当時の多くの学生達に受け入れられました。
しかし――勿論、反論もありました。
まぁ、世の中有名になった著名人に対して反論する人々は少なからずいるものです。しかし、もっとも私の中で印象的だった反論者は、「トランスパーソナル心理学」の代表者でもある「諸富祥彦氏」の反論でした。
当時の私は、宮台氏の意見に同意しつつも――どこかで
「別の答えがある」、そう感じていました。
そして今――当時から14年経て漸く、その答えが見えつつあります。
宮台氏の意見の何が、私の中で抵触したか。
それは、
「日常とは、社会システム論から派生している」ということです。
すなわち「日常を生きろ」というのは、「日常」というシステムに準じるあり方でしかなく、個性から派生した日々ではない――あくまでも
「マトリックスを受け入れろ」というのと、同義語なのです。
それは「間違ったあり方だ」と、今の私は確信しています。
残念ながら、諸富氏の反論については書籍を立ち読みしただけだったので、細かくは詳細をあげられませんが、今は彼の反論の方が正当性がある――そう感じています。
オウム真理教事件が、何故起きたのか。
今であれば、理由が明確に分かります。
信者の多くは「個性を抑圧された教育の被害者」でもあったのです。
あの宗教団体に参加していたほとんどの人が、東大のインド哲学科や医学部、理学部など、俗に言う「エリート」ばかりでした。
何故、そのような人達がオウム真理教に魅せられたのか。それは、彼らが「終末論の先にドラマを提供したから」ではなく、「個性という目覚め」を提供していると、そう受け取ったからに違いありません。(たとえそれが、方向性の間違えたものであったとしても。)
また、オウム真理教の中に目立ってあったのは(これは、どの宗教団体にも総じてあるものですが)「選民思想」です。
すなわち、「自分たちは、選ばれし者である」ということ。
この罠に、とかく人々は陥りやすい。とくに、「個性を抑圧され、自分というものを鑑みる機会が与えられなかった人達」にとっては。
オウム真理教が信者に提供した夢はまさしくこうした、
「個性を抑圧した社会からの解放」であり、自分が選ばれた者であるという優越を感じることで、コンプレックスを乗り越えるという不健全な形での「個の派生」だったのです(今の時代でもそれを引きずっているのは、言うまでもありません。「アセンション」という言葉の中で、「自分たちは選ばれている」と言ってる人達が周りにどれほどいるか数えてみれば、一目瞭然でしょう。本当に選ばれた人というのは、「不言実行」です。何も言わずに、ただただ「行動」だけでそれを知らしめているはずです。)
この本には、1995年に起きた阪神・淡路大震災の時も、多くの学生達が「ボランティア」に行ったという記載がありました。しかし、それは彼らが「非日常に憧れていた」のではなく、「自分が何か、役にたてるのではないか」という「個性の役立ち」を求めていたからなのだと、私には思えるのです。決して、物見遊山ではなかっただろう――と。
何故なら、人はそんなに「変化」を好む存在ではありません。もともと変化よりも「安定」を好む人々が、何故、そのような行動をとるかと言えば、
「『私』という存在に通じる何か」を求めていたからに過ぎない――すなわち「個性」に応じた活動を求めていたからに過ぎないのです。
「終わりなき日常を生きる」ということが、何故間違っていたのか――それは、今の現代日本社会を見れば、一目瞭然です。
あれほど宗教叩き、精神世界叩きがあったにも関わらず――今はどうですか?
あちこちに、当時以上のスピリチュアリズム、精神論、ものすごく蔓延していませんか?
それは、彼らが「終末論」によって「ヒロイズム」的発想を刺激されたからでも何でもありません。
そうではなく――「自分という『個性』を見出したい」その思いが強かったからに過ぎないのです。
個性を無視した日常――ただのシステム論は、いずれ崩壊します。今や、すでに崩壊しつつあります。「取り替え可能な社会」なんてものは、もうすでに滅びの一途を辿っています。いえ、それが滅ばずに個性を無視して社会が存続するのであれば、残念ながらこの世に希望は持てません。
2012というキーワードは、終末論のように見えつつも実は「暗号なのではないか」と私は思っています。
要するに、システム論的に「外部の規律に依存していた人達」のスイッチを入れ替え、
「自発的に生きられるよう切り替える為の暗号」。
内面的気づきに至れない限り、いつまでたっても世界は変わりません。それこそ、「終わりなき日常を生きる」だけです。
でも、人間はそんな「平たい存在」ではないはずです。
もっと奥深く、もっと多様化で、もっと複雑で――そして、もっとも「感性がある」。
システム的に存在する「日常」を、ただただ毎日、終わりなく寿命が来るまで生き続けるか――
或いは、自発的目覚めに至って、「日常」を自分を中心軸に据えられた「自常」に変えられるか――
すべては、みなさん個々人の「気づき」にかかっているのでしょう。
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