「他者の痛み」が分からなければ、世界平和も実現しない。

 今日は一日、やることが天こ盛りだった篠崎ですが――朝、目にしてしまった記事により一気にテンションが下がってしまい、予定は一転――「試行錯誤」で暮れてしまいました……。

<宮城死体遺棄>84歳自宅近くの山林に 容疑で長男を逮捕 

 この記事、目にされた方も多いかと思います。
 どういう印象を、持たれたでしょうか?
 私はとにかく……ただただ「辛い」――そう思いました。この息子さんはお母さんの遺体のそばで、蹲っているのを発見されたのです。その姿を想像して、あまりの痛々しさに胸が苦しくなったのは、私だけではないはずです。

 私がこの記事を読んだ後、mixiでも同様に記事が掲載されていました。みんな、どのような反応をしているのか興味を持った為、ざっと日記の冒頭を目に通したところ、半数が同情、半数が批判――中には中傷に近いものもありました。
 「年金暮らしっていうことは、息子が殺したんじゃないか」という意見もありましたが――考えてもみてください。殺人犯が、自分が埋めた遺体のそばに蹲っていますか? どうしてそんなことを考えられるのか、私には疑問です。
 この親子がどのような生活をしていたのか、そんなことを私達他者がとやかく言える筋合いはありません。大切なのは、「他者の不幸を知った時に、どれほど自分も同じ痛みを味わえるか」ということです。

 私は、「本当のスピリチュアリティとは、そういうことだ」と思います。
 天使も、悪魔もへったくれも、関係ない。
 「どのような心持ちで、現実世界を生きられるか」ということに尽きる――と。
 12日のセミナーの際、「霊」というのを「海面から出ている氷山」と、「水面下に隠れている氷山」の例で喩えました。すなわち、「海面から出ている氷山」というのは、現実的に顕在する私達の「こころ」であったり「感情」で、水面下に隠れている氷山が「霊的な存在である」と。

 もしも、海面から出ている氷山の部分で「他者の痛み」を感じられないのなら、
 水面下に隠れている氷山も、その痛みを感じられないはずです。
 みんなが同じように神の一部を内在させていたとしても、
 そのレベル、その大きさはマチマチです。
 だからこそ、世界には未だ紛争が続き、
 理不尽な殺戮、一部の富裕層による不平等な支配が続いているのではないでしょうか?
 みんながみんな、イエスだったり釈尊と同じレベルの神を内在させていたら、
 この世はとっくに平和になっていたはずです。


 その「バロメーター」とも言えるものが……私は「他者への痛みを、どれほど感じられるか」ということだと、そう思います。
 それを鈍らせてしまえば、こころが鈍るのと同じように、霊的なレベルも低下するのみです。

 ノーベル賞経済学者であるジョセフ・E・スティグリッツという人が書いた、有名な本があります。
「世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す」(以下、参考文献として掲載)
 この本の中に、「いつまでも世界が不均衡のままである理由」が端的に書かれています。以下、引用します。

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(第一章 不公平なルールが生み出す「勝者」と「敗者」 61ページより引用)

 さらに悪いことに、経済のグローバル化を舵取りする先進国では、世界共同体を機能させるのに不可欠な共感が国民のあいだに育っていない。もちろん、トルコの地震や、エチオピアの飢饉や、インドネシアの津波――これらの映像をリビングで観られるのもグローバル化のおかげ――の報に接すれば、われわれは被害者たちに同情するし、実際、世界じゅうから救いの手がさしのべられる。しかし、必要とされているのは、それより高いレベルの共感なのだ。
 国民国家の発展にともない、国民ひとりひとりは互いの絆を感じてきた。ここで問題となるのは、グローバル化が進展しても、このような国家にたいする忠誠心がことんど変化しなかったことだ。この相違を最も劇的に示してくれるのが、戦争だろう。アメリカ国民は、米軍兵士の死者数を一ケタまで正確に数え続ける一方、その五○倍にのぼるイラク人犠牲者の推定数が発表されても、ほとんどなんの感慨もおぼえない。アメリカ人が拷問を受ければ、全米で怒りが沸騰するだろうが、アメリカ人が拷問を行っても、反戦運動家が声をあげるぐらいで、多数派はアメリカを守るために必要な措置であると擁護するだろう。こういう非対称性は、経済の領域でもみられる。アメリカ国民は国内の雇用減少を嘆きこそすれ、自分たちよりはるかに貧しい国々で大幅な雇用増加が起こっていることを、けっして祝福したりしないのである。 
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 これは決して、アメリカだけのことではありません。
 私達日本人も、同様に反省すべき点が多々あります。
 それどころか、日本人の場合はこういうことを指摘出来る知識人さえいないということを、恥じるべきではないでしょうか?

 この後、ジョセフ氏は「もっと世界的な視点に立ち、世界共同体の一員として思考する必要に迫られるだろう」と綴っています。ここで言う世界共同体の意味が、一部の富裕層だけに有利で、しかも統一主義的な「形だけの押し付けシステム」ではないことを、充分ご理解頂けることと思います。

 本当に必要な意識改革は、個々人の個性を尊重し、アイデンティティを尊重した上でこそ、調和としてなされるべきです。
 そして、その個性の尊重は、「自分とは異なる共同体の人の痛み」を、自分の痛みと同じように感じられるこころが必要なのです。

 以前、このブログでも紹介しましたが――もう一度、ここで繰り返させて頂きます。
 映画「ルワンダの涙」、そして、「ルワンダ・ホテル」
 両者、1994年に起きた「ルワンダ紛争」の実話を元にした映画です。この二つに、とても象徴的な場面がありました。

 まず、「ルワンダの涙(原題:Shoting Dogs)」では、BBCの報道記者だった女性が、主人公の青年ジョー(国連技術学校の教師)に向かい、こう言います。(概略の紹介になりますが、御容赦願います。)
「私は、ボスニアの紛争を取材していた時、毎日毎日泣いていた。それが、ここではちっとも涙が出ないの……」
 それを聞いたジョーは、こう言いました。
「――心が、あまりの凄惨さに麻痺してしまったからではないか?」と。  
 しかし、その女性記者は首を横に振ります。
「ちがう。もっと最悪よ。……ボスニアの白人女性の遺体を見ると『これが母親だったら』と連想したの。でも、ここでは違う。死んでいるのは、『ただの黒人』。――人間は、自分勝手な生きものなのよ」

 この女性の言葉は、とても皮肉で――かつ正直であり、懺悔に近い言葉にも思えました。
 同じように、「ルワンダ・ホテル」を取材したBBCのカメラマンも印象深い言葉を言います。
 そのカメラマンは、自分の身の危険を冒してまで、虐殺の場面をカメラに治めました。当時、「虐殺はない」という報道を裏返すきっかけとなったのです。
 そのイギリス人のカメラマンに、ルワンダ・ホテル支配人であるポール(フツ族)は、「ありがとう。君のおかげで、世界が僕達を助けに来てくれる」と礼を言いました。
 しかし、そのカメラマンはただ苦笑します。

「これで、世界が君達を助けに来てくれると思うかい? テレビを見ながら『怖いね』――そう言って、ディナーを続けるだけの話さ」

 この二人の言葉を、私達は絶対に聞き捨ててはならない――そう思います。
 日本人は島国だったせいか、あまりにも国際情勢に無関心すぎる気がします。
 いえ――国際情勢だけではなく、「目に見えないものに、無関心すぎる」ように思えるのです。
 それは、ある意味仕方ないことかもしれません。日本のマスコミは「売れるもの」にしか反応せず、本当の正義の為には動かないからです。そういった意味で、日本はとても稚拙なジャーナリズムしか持ち合わせていないとしか言いようがありません。

 地方の人は、東京駅周辺に住むホームレスの人々がどれほど多いかを知らず、
 都心に住む人は、地方にある過疎化した地域の閑散さを知らず、
 みな、互いに国にありながらも、「知らない世界」に属しているかのようです。

 昨日の記事にも書きましたが、「井の中の蛙」のままでは、絶対にこのまま時代を乗り越えられません。
 大海を知るということは、同時に「大海の辛さを知る」ことでもあります。
 管理された熱帯魚の水槽に生きているうちは楽ですが、その管理が解かれ時、熱帯魚達はどうなるのでしょう? 自分たちで生きていく力を、持てるのでしょうか?

 私は、まだ日本が「管理されている間」に、日本人ひとりひとりが他者の心に敏感になり、世界の現状を知って、自ら立ち上がる為の「強いこころ」を育てる必要がある――そう思います。
 日本人には優れた感性があることを、海外に住む多くの人達が認めているのです。「共感力」は、本来、日本人が最も優れた民族のはずです。その私達が、井の中の蛙のまま、海水で死んでしまうなんてことは、あってはなりません。

 情報をただ鵜呑みにして、「右向け右」で一斉に右を向くのではなく――自分の内面から「本当に正しいか、どうか」を感知出来るよう、私達は成長していく必要性があるのでしょう。
 そのバロメーターは、「他者への思い遣り」――痛みを感じる「こころ」だと、私はそう思います。

 機会があれば是非、二作の映画「ルワンダの涙」と「ルワンダ・ホテル」を視聴なさってみてください。

 
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※mixiの会員外の方でコミュに参加されたい方は、左フレームのメールフォームからご相談ください。
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【参考文献】

世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す
(2006/11)
ジョセフ・E. スティグリッツ

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プロフィール

篠崎由羅(しのざきゆら)

Author:篠崎由羅(しのざきゆら)
1970年生。幼少期から哲学・宗教学に造詣を深める。思想および思想史、それに付随した国際事情に興味を抱いて独学を続け、大学ではインド哲学科専攻。東西問わず、両者の思想に渡り研究を深める。

現在は看護師として施設で勤務しながら、その傍らで執筆活動を続けている。2016年11月にYOU are EARTH改め「WE are EARTH」の活動を再始動予定。より良い未来の地球のため、全力を尽くす誓いをたてている。

【篠崎編集担当】


【篠崎の著作本】

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